焼肉とは不思議な料理である。大雑把に言ってしまえば、ただ「肉を焼いて食す」。これほど簡単で誰でもできる料理もないだろう、しかし、その奥は深い。
否、簡単で誰でもできそうな料理だからこその懐の深さがあるのが焼肉であろう。一口に焼肉と言っても、まず、牛であるのか豚であるのか、または鳥であるのか?羊や獣肉だってある。
次に、バーベキュー形式であったり、韓国式の焼肉店であったり、ジンギスカンであったり、様々な形態の焼肉が存在する。
なんせ、肉を焼くだけ、なので間口が広すぎるのである。次に、焼いた肉をどのような味付けで食すのかも様々で、バーベキュー風のフルーツを混ぜ込んだ甘めのタレで頂いたり、韓国風の醤油のようなタレやコチジャンのような辛い調味料を加えて食したり、はたまた塩コショウだけでいただいたり、レモン汁に塩を少々振り混ぜたタレでいただく種類の肉もある。
あとは、肉を焼く火は何か?炭であったり、ガスであったり電機のホットプレートであったりこれも様々である。火と同時にそれを焼くもの、つまり、鉄板なのか、網なのか、特殊な形状の鉄鍋なのか、果ては石焼の焼肉、溶岩で焼いた焼肉などというものまである。
そして、どの肉であっても焼肉を食す際やその場に欠かせないお供がアルコール飲料である。これにおいても、ビール派、焼酎派、ハイボール(ウイスキー)派、ワイン派、日本酒派など見事に分かれるのである。
事ほど左様に、焼肉とはとっつきやすくだからこそこだわりをもった人が多く存在する料理だと言えよう。